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2025.06.10更新

これから夏に向けた季節、ニュースなどでも耳にすることが多くなる脱水症・熱中症・熱射病。2024年5~9月の期間に、熱中症で救急搬送された方は97,578人。高温の日数が多い年、異常に高い気温の日がある年は、発生が増加する傾向にあり、特に2010年以降は大きく増加しています。夏は気温とともに体温も上昇するので、身体は発汗によって体温を下げようとします。その汗には、水分だけでなく塩分も含まれており、この両方が失われることで脱水症になります。脱水症を放っておくと、熱中症、熱射病へと症状が移行していきます。

<脱水症>水と電解質(塩分が水に溶けると電解質になります)で構成される体液が汗で失われ、その補給ができていない場合に生じます。脱水症になると、血液の量が減り、血圧が低下します。必要な栄養素が体に行き渡らなくなり、不要な老廃物を排泄する力も低下します。また食欲不振などの原因にもなります。更に骨や筋肉から電解質が失われることで、脚がつったり、しびれが起こることもあります。脱水症が熱中症の様々な症状を誘発します。
<熱中症>熱中症とは気温の高い環境で生じる健康障害の総称です。体内の水分や塩分などのバランスが崩れ、体温の調節機能が働かなくなり、体温上昇、めまい、倦怠感、けいれんや意識障害などの症状が起こります。
<熱射病>熱中症のひとつ。脱水症が進み、体温を調節する働きが追いつかなくなることで40℃を超える高体温になり、脳の体温調節中枢機能が麻痺して起こります。重症の場合には意識障害やショック状態になることもあります。熱射病がもっとも危険で、死亡することもまれではありません。

熱中症

【尿の色による脱水症状判定チャート】
 以下のチャートと自分の尿の色を比べることで、脱水症状の度合いを調べることができます。横に示された対策を行い、自分の体の水分量を回復させましょう。

尿 判定チャート

【熱中症予防をしよう】

① 暑さを避ける

…屋外では日陰を選んで歩いたり、日傘をさしたり帽子をかぶったりしましょう。屋内では扇風機やエアコンを適切(設定温度28度以下、湿度60%以下)に使ったり、すだれやカーテンで直射日光を防いで暑さを避けましょう。

② 服装を工夫する

…吸収性に優れた素材の服や下着を着て汗を吸収させましょう。また衿元はなるべく緩めて通気を良くしましょう。太陽光の下では熱を吸収する黒色型の衣類は避けましょう。

③ こまめに水分を補給する

…知らず知らずのうちに汗をかいているので、こまめに水分補給をしましょう。たくさん汗をかいた時は、水分と共に塩分も補給しましょう。アルコールは、尿の量を増やし体内の水分を排出してしまいます。飲酒の際にもミネラルウォーターなどを一緒に飲んで脱水症状を予防しましょう。

④ 暑さに備えた体づくりをする

…日頃からウォーキングなどで汗をかく習慣を身につけておくと、夏の暑さにも対抗しやすくなり、熱中症にもなりにくくなります。

⑤ 日頃から体調の管理を行う

…熱中症は、その日の体調が影響します。前の晩に深酒をしたり、朝食を抜いて暑い環境に行くのは避けましょう。また発汗時に失われるビタミンやミネラルを補給しておくことも重要です。「カリウム」「マグネシウム」「ビタミンB1」や細胞内外のバランスを整える「レシチン」を普段から摂取しておきましょう。

 外出

 

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2025.05.10更新

  誰もが日常的に経験する頭痛。15歳以上の日本人のうち、なんと3人に1人は「頭痛もち」で、約3000万人以上の人たちが頭痛で悩んでいると言われています。頭痛と言ってもその原因は様々で、慢性的な頭痛や、二日酔い、脳疾患などが挙げられます。自分の頭痛がどのタイプかをキチンと把握し、安易に鎮痛剤などを常用せずに、正しい対処法で痛みを軽減しましょう。

頭痛

【その他の頭痛】
良性頭痛(誰にでも起こる「日常的な頭痛」)
…風邪、二日酔い、ストレス(睡眠不足)、生理など理由がはっきりした一時的な頭痛で、心配する必要はありません。
症候性頭痛(脳の病気が原因の「危険な頭痛」)
…脳の病気が原因で起こる頭痛で、すぐに専門医に罹る必要があります。急激に起こる頭痛の場合は【くも膜下出血】【脳出血】【急性髄膜炎】などです。また次第に激しくなる場合は【脳腫瘍】【慢性硬膜下血腫】などが疑われます。

【自分の頭痛はどのタイプ?】
下記のチェックシートで自分の頭痛をチェックしてみましょう。

頭痛2     

【頭痛を予防するには?】
①人ごみを避ける ②睡眠を十分にとる ③軽い運動などで気分転換
④ストレスを溜めない ⑤入浴やマッサージをする
⑥アルコールの飲み過ぎやタバコの吸い過ぎに注意
⑦チョコレートやチーズの食べ過ぎに注意
(血管を拡張するため片頭痛の原因になると言われています)

【痛くなったら?】
緊張型頭痛の場合…肩や首のコリが原因の一つです。温めることで症状が緩和しますので、お風呂にゆっくり浸かったり、ストレッチや体操などをしましょう。
片頭痛の場合…何らかの原因で頭の血管が拡張し、脈打つ際に神経を刺激することで起こります。痛い箇所を冷やして血管を収縮させると痛みが和らぎます。また低血糖の状態はアドレナリンが分泌され、血管の拡張を起こし、片頭痛を引き起こす要因となります。空腹で頭が痛くなったら、水分補給と同時にリゾレシチンの摂取が効果的です。
群発頭痛の場合…目の奥の血管が拡張されて神経にあたり、激しい頭痛が起こると言われていますが、原因がはっきりしていません。痛みの発作が起きそうになったら ①深呼吸する ②水分を多めに摂る ③じっとするよりも動き回る(身体に酸素が回る)を実践しましょう。普段から亜硫酸ナトリウムを含む食品(加工食品)は避けるようにしましょう。
※いずれの場合にも正常な血液循環による栄養と酸素の供給が大切です。痛みの原因となる神経の炎症反応を和らげるために日頃からレシチン、オメガ3、ペプチド、ビタミンB複合体などを摂取しましょう。

 

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2025.04.10更新

【1日10000歩は歩き過ぎ?】
一昔前は、病気の予防や健康のために1日1万歩を目標にして歩くことがブームになりましたが、最近の研究では、8000歩以上歩いても、健康効果は頭打ちになることが判ってきました。また室内で歩いても骨は強くならず、日光を浴びて歩くことが必要であること、できれば大股で歩き、中強度の活動20分(階段の昇降や早歩きなど)行うことで健康効果が期待できるようです。また1日8000歩でなくても医学的に以下の効果が期待できます。

  8000歩(うち中強度20分)…高血圧、糖尿病など
  7000歩(うち中強度15分)…がん、骨粗そしょう症など
  5000歩(うち中強度5分)……認知症、脳卒中など

 2016年11月14日に厚生労働省が発表した「平成27年国民健康・栄養調査の結果概要」では、成人の1日あたりの平均歩数は男性で7194歩、女性で6227歩であることが判りました。男性は20代がもっとも歩数が多く、30代から50代ではほぼ横ばい、女性は大よそ20代から60代までが同数で70代以上で大きく減る動きを示しています。また令和5年(2023)「身体活動・運動ー歩数の状況」によると、歩数の平均値は男性で6,628歩、女性で5,659歩であり、この10年間でみると、男女とも有意に減少しています。

歩数

【自分の歩数や活動量を計ってみる】
歩数の平均値が分かったところで、まずは自分の1日の歩数を知る必要があります。今では歩数計や活動量計も数多くあり、安価で購入できるものもありますので、まずは身につけてみることを検討しましょう。自分の活動量が判ったところで、そこにプラス1000歩を目標にして、1日8000歩を目指してみましょう。

【歩数計・活動量計の種類】
★クリップタイプ…ウエストなどにクリップで留めるシンプルな歩数計です。1000円前後で購入が可能です。

★リストバンドタイプ…少々高価ですが、時計と活動量を併せ持つものが多く、脈拍を持続的に計測したり、睡眠のリズムや心のバランスまでチェックできるものもあります。

★ネックレスタイプ…小型の歩数計をネックストラップにつけてカウントします。また、ポケットやかばんに入れておくタイプもあります。

★スマホを使って…スマホでも歩数計のアプリケーションがありますので、ダウンロードして利用するのも方法です。但し、スマホを携帯して歩かないと、歩数が計れないので、スマホを持ち歩かない方には不向きです。


※何となくウォーキングする…というよりも、「歩数を明確にする」ことで、目標がはっきりして達成感があり、継続するためのきっかけとなります。自分に合った歩数計を選んで、毎日の生活に採り入れてみましょう。

 

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2025.03.10更新

昔から「人は血管とともに老いる」と言われ、年をとると血管壁は弾力性が無くなって硬くなり、血管壁が厚くなって内腔が不規則に狭くなったり部分的に拡張したりします。動脈の走行も蛇行しやすく、その状態が首や腕などでは外から観察できるようになります。動脈硬化が年齢とともに段々と進行する時に見られる所見です。
血管というと、太い血管を想像されるかもしれませんが、実は血管の95~99%が毛細血管です。皮膚を通して見えるのはかなり太い血管で、ここから枝分かれして体中のあらゆる臓器や器官にびっしりと極細の毛細血管(0.005~0.02mm)が張り巡らされているのです。毛細血管をはじめとする全ての血管を1本につなぐと約10万キロメートルとなり、地球を2周半するほどの長さに匹敵します。そして心臓から出た血液が体内を巡り、再び帰ってくる時間は約30秒となり、相当の速さで循環されていることが判ります。毛細血管は動脈と静脈の間に位置し、細胞に必要な酸素や栄養を届け、不要となった二酸化炭素や老廃物を回収するのが役割です。そのため毛細血管はあらゆる細胞と0.03mm以内にあるとされています。全ての細胞の至近距離にまで毛細血管は張り巡らされているのです。毛細血管は、小さな穴が開いており、適度に漏れることで周囲の細胞に酸素や栄養を届けることができます。しかし、加齢などが原因で過度に漏れやすくなったりすると、その先に血液が届かなくなってしまうことがあり、その状態が続くとその先の血管が消滅してしまうのです。この状態を「ゴースト血管」と言い、テレビや雑誌でも取り上げられている現況です。

血管

【ゴースト毛細血管は万病の元!】
 毛細血管が無くなってしまうと、その先にある細胞に酸素や栄養が行き届かなくなります。皮膚の近い場所で起きると肌のシミやしわの原因に、頭皮近辺で起こると薄毛や白髪の原因になります。また酸素や栄養が届かないと、心臓は強い力で血液を送り出そうと働くため、高血圧を招いて、更には動脈硬化を進行させることに繋がり、心筋梗塞や脳卒中のリスクも高まります。また血液は酸素や栄養だけでなく白血球も運びます。体の隅々まで白血球を届けることで免疫に寄与していますが、ゴースト血管によって白血球が行き届かなくなる場所があると免疫が落ち、風邪をひきやすくなるなど感染症のリスクが高まります。また一定の温度の血液を運ぶことで、体温を維持するのも毛細血管の役割です。そのため血流が途絶える場所があると、その先で冷え性が起こることもあります。更には毛細血管が減ることで、アルツハイマー型認知症や骨粗鬆症のリスクが増すという見解もあります。エネルギーが消費しにくくなるので糖尿病のリスクも心配しなければなりません。

 

【血管の健康度チェック】

 ※該当する項目が多いほど、血管に悪影響を与えます

☑脂っこいものが大好きで、油物を中心に食べる

☑濃い味付けが好み

☑外食と加工食品が多い

☑甘いものが大好き

☑ストレスが多く、いつも気持ちが急いでいる

☑心の底から楽しめる趣味がない

☑タバコを吸っている

☑睡眠時間が短く、寝不足だ

☑睡眠時無呼吸症候群がある

☑運動はしないし、いつも車で移動する

☑血圧が高め

☑血糖値が高め

☑コレステロール値が高め

☑太っている 

【毛細血管のゴースト化を防ぐには】
 まず第一には血流が滞らないようにすることがポイントです。血管の中を流れる血液を「流れやすい状態にする」ことが必要です。例えば脂質異常にならないように食事のバランスを気をつけることです。また食後に高血糖にならないように野菜から食べること、よく咀嚼すること、また大食いを避けるなどを実行しましょう。副交感神経を優位にすることは、末梢の毛細血管を開かせ血流がよくなるという見解もあります。交感神経が優位な状態が続くと、毛細血管が収縮して血圧が上昇してしまいます。規則正しい生活や質の良い睡眠、リラックスタイムを心掛けるなど副交感神経が優位になる時間帯を作りましょう。栄養素としては、血液をサラサラにするDHA/EPA、血管壁を構成するレシチン、血管の弾力を保つコラーゲン、各種ビタミンやミネラルが必須です。ハーブではイチョウ葉やシナモン、ヒハツなどがお勧めです。

 

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2025.02.10更新

サルコが「筋肉」、ペニアが「減少」という意味で、「サルコペニア」とは加齢や疾患によって筋肉量が減少することを言い、徐々に身体機能の低下が起こる現象です。「フレイル」とは、身体機能や認知機能が低下して「虚弱」になった状態のことを言います。サルコペニアは筋肉量減少を主体として、筋力や身体機能の低下を主要因としているのに対して、フレイルは、移動能力/筋力/バランス/運動処理能力/認知機能/栄養状態/持久力/日常生活の活動性/疲労感など、非常に広い要素が含まれています。実は筋肉の量は、20歳代をピークに30歳代以降から年1%の割合で減少していきますが、加齢に伴い、その速度はますます高まり、1年で5%以上の減少率になる例もあります。
「歩くのが遅くなった」「転びやすくなった」「手すりにつかまらずに階段を上がれない」「活動的ではなくなった」「ペットボトルのキャップを開けにくくなった」などが当てはまる場合には、サルコペニアの可能性が考えられ注意が必要です。

【大腿部筋肉のMRIによる横断面】

筋肉

  25歳   75歳

健康状態の特性

【サルコペニアの簡単チェック方法】
 サルコペニアを早期発見するにはどうしたらよいでしょうか。高齢者の方の腕や脚の筋肉量、握力、歩行速度を測るのは容易ではないので、サルコペニアの予備群を早期発見するのは難しいことです。そこで、東京大学高齢社会総合研究機構の飯島勝矢氏らが考案したのが「指輪っかテスト」という自己評価法です。「指輪っかテスト」の方法は、両手の親指と人差し指で輪っかを作り、ふくらはぎの最も太い部分を囲み、指のあまり具合を見るという方法です。「囲めない」「ちょうど囲める」「隙間ができる」と評価し、「隙間ができる」の場合は、筋肉量が少なくなっており、サルコペニアの疑いがあります。

わっか

【サルコペニア肥満…大丈夫ですか? 】
筋肉が減って脂肪が増える状態を「サルコペニア肥満」と言います。通常の肥満より高血圧や低体力になるリスクが高く、メタボよりも怖いと言われています。高齢者だけでなく、食事制限ダイエットや運動不足によって、若い人たちにも予備軍が見受けられます。食事を制限すると、身体に必要な栄養素が減って筋肉も衰えていきますが、筋肉が減少しても脂肪は燃焼されずに体内に残ってしまうのです。自分がサルコペニア肥満の状態かどうかを調べるには、脂肪量と筋肉量を量る必要があります。体組成計で測定が可能です。以下の基準を目安にしましょう。
         ★男性:筋肉量27.3%未満、BMI25以上
         ★女性:筋肉量22%未満、BMI25以上

体組成計がない場合には、以下の筋力テストである程度の判断ができます。

       ★腕を組んで椅子に座り、片足で立ち上がる 

左右両方できない場合には危険信号です。

【たんぱく質を効率良く筋肉にする必要な栄養素】
筋肉を作りたい時や強化したい時に、たんぱく質が欠かせない栄養素であることは良く知られています。成人の場合には、体重1kgあたり0.8~1.2gのたんぱく質を摂ることが望ましいとされています。例えば体重50kgの人の場合には1日に40~60gのたんぱく質を摂取する必要があります。「たんぱく質=筋肉」と考えがちですが、食品からたんぱく質を摂取しただけでは筋肉にはなりません。それは、たんぱく質はペプチドやアミノ酸に分解されてから、筋肉に合成される必要があるからです。たんぱく質の分解、合成にはビタミンなど(ビタミンB6、ビタミンB1、アリシン、ビタミンD)の栄養素が関係しています。またアミノ酸の中でも筋肉の保持や増量にもっとも重要な役割を果たすのが「分岐鎖アミノ酸(BCAA)」です。BCAAとは、アミノ酸の一種であるバリン、ロイシン、イソロイシンの総称です。これらのアミノ酸は体の中では作ることができないため「必須アミノ酸」とも呼ばれています。BCAAは筋肉の分解を抑制して、筋肉のエネルギー源となります。BCAAの摂取目安は、1日あたり8~16gの範囲で摂るようにしましょう。また筋肉量を増やすためには同時に運動を行う必要があります。適度な運動を心掛けましょう。

食品

サルコペニアやフレイルの予防のために、バランスの良い食事と適度な運動を心掛ける必要がありますが、高齢になると食事量の減少とともに、たんぱく質の摂取が少なくなる傾向にあります。植物性プロテインやペプチドなどの健康補助食品を上手に利用し、散歩や簡単な体操などを日々の習慣にすることが大切です。

 

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2024.09.10更新

 どんな病気でも、これまでの西洋医学では食事や運動など、生活習慣との関係をはっきりさせてきませんでした。食事指導が必須とされているメタボリックシンドロームでさえ、まず 抗コレステロール薬や降圧剤(血圧低下薬)を処方し「薬さえちゃんと飲んでいれば、何を食べても構いません」という医師がいるのです。

 しかし、生き物の体は、食べたものや水や吸い込んだ空気によって、骨や血液や筋肉が出来上がっていくのですから、「薬さえ飲めば…」はありえません。むしろ「薬という異物を入れず、血や肉となる食べ物をしっかり摂れば、体はまた健康になっていきます」というのが自然というものでしょう。

 老いは、生き物にとって避けて通ることのできない生命現象です。人間の場合、肉体的な成長が止まる25歳頃から、老化は次第に誰でも起こってきます。ただし、老化のスピードは人によって異なります。「もう年だから、今更食べ物を変えても遅い」などと思っていたら大きな誤解です。老いを如実に感じ始めてからこそ、食事を変えて栄養をしっかり摂りましょう。

 

【日本食を見直そう】

 食べ物を変えていこうとする時、参考にしてほしいのは「昔の日本食」の在り方です。実際に、従来の日本食を食べ続けている戦前生まれの人の方が、今の若い人よりも血液データが良いケースがあります。

 これまでの長い歴史の中で、日本人は主食としてパンではなく米(胚芽米、発芽玄米)を食べていました。米は、パンやパスタ類と違って、それ自体が塩や砂糖などの調味料を含まない本当の自然食です。特に玄米は、その生命を丸ごと食べるというバランスのとれた「一物全体食」の見本です。

 また、パンの発酵に使われている添加物のイースト菌は、体にとっては有害菌となりえることが分かってきています。食べ過ぎにより繁殖することで体調を悪くし、腸の消化能力に影響して免疫力を落とすとも言われています。パンは、それ自体に砂糖や油脂が含まれているので、全体としてカロリーの摂り過ぎになるということもあります。主菜として、日本人は伝統的に肉ではなく、魚や大豆を食べてきました。このため、日本人の母親の母乳にはDHAやEPAが欧米女性の母乳よりも多く含まれていて、子の成長にいい影響を与えているという調査研究があります。

 海のものを食べてきたということが、民族としての体質を決定づけたとも言えます。日本人は、牛乳を飲む習慣がありませんでしたが、かつての日本では、カルシウムなどのミネラル摂取量は十分でした。これはワカメや昆布などの海のものからカルシウムやマグネシウムなどを吸収していたためと考えられます。

 牛乳は、カルシウムが効率的に摂れると考えられていますが、実際には「毎日欠かさずに牛乳を飲んでいます」という人の骨量が非常に低くて、骨がスカスカ状態であるということがよく起こります。更に足腰の痛みや肩こり、頭痛などを多く抱えているケースもあり、これは「ミルクパラドックス」の影響ではないかと考えられます(ミルクパラドックスとは、牛乳を多く飲むことで、体がカルシウム過剰と判断し、骨からカルシウムを溶かし出し、血液中のカルシウムを増やそうとします。その結果、骨がもろくなっていく現象のことを指します)。

 また、発酵食品が腸に良いと言いますが、ヨーグルトに含まれているのは動物性の乳酸菌で、日本人の腸にあっているかは疑問です。実際に「ヨーグルトを食べるとお通じが良くなる」と言いますが、同時に腹痛があったり、ガスの溜まった感じがあるなら要注意です。それは実はお腹を下しているのであって、消化・吸収できない物質が胃腸に入った時の緊急排泄という自浄反応かもしれないのです。

 何百年も、習慣的にヨーグルトを食べてきたヨーロッパの人の腸と、日本人の腸が違っていても当然です。逆に日本人の腸は、長い間食べ続けてきた納豆などの大豆発酵食品を消化・吸収するにのは適しています。結局、その民族が長年食べてきたものを食べていくのが、体にやさしい食であり、自然なアンチエイジングにもつながり、脳をイキイキ働かせてくれます。

 納豆

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2024.08.10更新

 西洋医学の薬は、ほとんどが対症療法です。つまり病気を根本から治すのではなく、その時の痛みやつらさを感じなくするための「その場しのぎ」の作用です。例えば頭痛薬は、頭痛が起きている原因を改善しているのではなく、頭痛を感じる神経を麻痺させているのです。

 更に精神医療の現場では、非常に混乱した不合理な処方が行われています。もっとも代表的なものが「多剤投与」です。これは、例えば抗不安薬が2種類、睡眠薬が5種類などというように、同じ作用または同じ系列の薬剤を何種類も重ねて処方することを言います。悲しいことに、多剤投与を行っているのは、世界の中でも圧倒的に日本の精神科病院が多いのが実情でした。平成21年の厚生労働省「今後の精神保健医療福祉の在り方等に関する検討会」資料によれば、オーストラリア、アメリカ、イギリスなどでは「単剤投与(投薬は1種類だけ)」の比率が80%以上、中国、台湾でも70%以上で、多剤投与を行っているところは20~30%なのに対し、日本ではなんと80%近くが多剤投与を行っていました。また、ほとんどの国では3種類以上の薬を同時に使用するケースはゼロなのに、日本では3種類以上が50%にも達していました。この頃の日本の精神医療施設での処方薬剤種数は平均7~8種類にも及んでいたのですから、まさに日本は薬害天国だったと言えるでしょう。

 私たちの体は、毎日の食事で摂り入れた栄養と、水と空気でできているのです。そこに、何種類もの化学合成された薬剤が入ることでどうなるのか…当然弊害が起こります。ろれつが回らない、口がもつれる、目の焦点が合わない、体が鉛のように重くなり、ベッドから起き上がることもできない、めまい、吐き気、頭重感、喉の渇き、便秘、湿疹やじんましんなどの皮膚症状など…。薬害は更に内蔵機能や血行にも影響は及びます。精神科には、いつも体のあちこちの調子が悪く、内科や皮膚科、整形外科、婦人科など色々な病院を回って診察を受け、結果的にさらに沢山の薬を処方されている患者さんがたくさんいます。

 こうなると、もともとその人が持っていた疾患とは何だったのか?区別がつかないほどに薬害が体をむしばんでいくのです。

 日本では、2014年度の診療報酬改定において、抗精神病薬処方の剤数制限が行われ、4剤以上の処方で診療報酬が減算されることとなり、2016年度の診療報酬改定では、3剤以上に制限が強化され、精神病棟に入院中の患者が退院時に抗精神病薬の剤数、投与量(クロルプロマジン換算)を一定の割合で減薬・減量することで診療報酬が算定できる薬剤総合評価調整加算が新設されました。また、外来においても薬剤総合評価調整管理料が新設され、向精神薬の減薬・減量が推し進められていくことになりました。それでもまだ日本国内では、多剤投与で苦しんでいる患者さんは後を絶ちません。

お薬手帳

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2024.07.10更新

 毎日の食事で、必要な栄養が足りなかったり、栄養バランスが悪かったりすれば、活動性が鈍るだけでなく、免疫力が低下します。そして認知症や癌のような、細胞組織の異常から起こる病気にもなりやすくなります。

 なぜなら、人は食べたものによって体ができているからです。老化によって記憶力や認知力は低下しますが、食べ物の栄養によって脳と体が作られる以上、脳機能の健康も、食事のあり方で大きく変わってくるのです。例えば、脳の30%はレシチン(リン脂質)でできています。脳の神経細胞には、セロトニンやドーパミン、アセチルコリンなどの情報伝達物質がありますが、これらは、レシチンや糖鎖などの栄養成分を十分に摂ることで、バランスよく脳内に存在することができるのです。「記憶力が年々低下している」「認知症の家族に何をしてあげたらいいかわからない」こんな時は、まず毎日の食事を見直すことから始めてみませんか?

 

【脳を疲労させ、記憶力や認知力を落とす食生活】

 下記のチェックボックスで当てはまるものにチェックを入れてみましょう。6つ以上チェックがある人は「疲れが取れない」「イライラして集中力が出にくい」「物忘れしやすい」などの脳機能の不調を感じているのではないでしょうか。今すぐその悪習慣に別れを告げて、脳を鍛える正しい食べ方を学びましょう。

□ 肉料理が多く、魚類(特に青背の魚)はあまり食べない

□ レシチンを多く含む大豆、大豆製品、卵(特に卵黄)、ゴマなどをあまり食べない

□ 野菜や生の果物をあまり食べない

□ うどんやおにぎりなどの炭水化物だけで腹を満たすことが多い

□ コロッケやフライなどの揚げ物を、コンビニなどで買ってきて食べることが多い

□ 白砂糖を含む食品(甘い菓子、スナック菓子、加糖コーヒー、清涼飲料水)をよく摂っている

□ コーヒーや紅茶などカフェイン飲料を一日10杯以上飲んでいる

□ ラーメン、スナック菓子、できあいの惣菜や弁当など添加物の多いものをよく食べている

□ 長期間にわたって、お酒を泥酔するまで飲む習慣が続いている

□ イライラしたり、一人でくよくよ悩みながら食事を摂る(お酒を飲む)ことが多い

□ 喫煙している

 脳にとってマイナスな食事とは、

①ビタミンやミネラル、不飽和脂肪酸などの栄養成分が足りない

②添加物、化学調味料が多い

③塩分が強い

④カフェインやアルコールなどの刺激物が多い   などです。

 身体の老化をもたらす生活習慣病と、ほとんど同じです。血糖や血圧、コレステロールの問題は、男性は早ければ30代後半から、女性は40代後半から起こりやすくなります。脳機能の衰えを自覚するのは、それよりも10年ほど後、40~50代になるかもしれません。まさに「最近、ちょっとぼけ始めた?」「物忘れがひどくて…」と不安になる時期と、ぴったり当てはまるのではないでしょうか。

 では脳機能の低下を防ぐにはどうしたらいいでしょうか? 体を作っている細胞のひとつひとつは、日々入れ替わります。脳では、細胞そのものは入れ替わりませんが、個々の細胞を作っている分子が刻々と入れ替わっています。その分子を作る材料がうまく食べ物として補給されればいいのです。

【脳のストレスを取り除く栄養成分とは】

 ここに挙げる栄養成分は、「脳を鍛える栄養成分と食品」の代表的なものです。大切なのは、毎日の食生活で体と脳にストレスを与えないこと。そしてここに示した栄養成分を十分にとるにはどうしたらいいかということです。

★レシチン…大豆製品、卵黄、ゴマ、うなぎ、小麦胚芽、チーズ、レバー、緑黄色野菜(人参、ブロッコリー、ピーマンなど)、酵母

★DHA/EPA…マグロ、鮭、タラ、ブリ、ハマチ、青背の魚(イワシ、ニシン、サンマ、アジ)、ウナギ

★GABA…玄米、トマト、ナス、アルファルファ、小魚、納豆、味噌、漬物

★各種ミネラル…海藻類(海苔、ヒジキなど)、大豆製品、あさり、玄米、切り干し大根、ナッツ類

★ビタミンB群…豚肉、レバー、玄米、胚芽米、青背の魚、ウナギ、カレイ、マグロの赤身、カツオ、キノコ類

★ビタミンC…ブロッコリー、カリフラワー、小松菜、ホウレン草、赤ピーマン、柿、レモン、いちご、イモ類

★糖鎖…キノコ類、ツバメの巣、藻類、亜麻、サメ軟骨など

 

 世界中で多くの研究者が、認知症と食事について、研究報告を発表しています。中でも多くのデータが出てきているのは。高脂肪、高エネルギーの食事と認知症との関係です。東京都老人総合研究所の「認知症高齢者に関する総合的研究」では「アルツハイマー病のモデルマウスに食事を与える時、エネルギー(カロリー)を制限するとアルツハイマー病の特徴である脳の老人斑の形成が約1/3に減少します。逆に、エネルギーの高い高脂肪食を与えると、老人斑の形成が2倍に増加します」というデータを紹介しています。

 エネルギーや脂質の摂り過ぎは、糖尿病や高血圧の原因になり、体内の酸化ストレスを増加させることから、癌の発症にも関係すると言われています。当然、脳の認知機能にも影響を与えます。炭水化物(糖質)のうどんやパンを食べ過ぎず、ビタミン、ミネラルを多く含んだ野菜や、脂質が低くたんぱく質が多い魚や大豆製品をしっかり摂る必要があります。また甘いおやつの食べ過ぎにも注意しましょう。

 つまり脳トレより食トレです。「高脂肪を避け」「バランスよく食べる」をできるだけ早い時期から行いましょう。

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2024.06.10更新

手足が冷たいなど冷え性で悩んでいる人は、女性では66.6%、男性では43.2%の調査結果が発表されています。冷え性を放置しておくと、免疫力が落ちて風邪やウイルスに感染しやすくなるだけでなく、体温維持機能が低下するために体温が下がり、なかなか元に戻りにくくなってしまいます。冷え性の改善には、食事の仕方や衣類、運動、入浴の仕方など、日常において様々な方法がありますので、できるところから実践しましょう。

■衣類
麻、ウール、シルク、綿のような天然素材は、吸収性や保湿性が高いのでお勧めです。あまり締め付けの強い洋服を身に着けると、圧迫されるために血行が悪くなり、かえって冷えを引き起こしてしまうので、ゆとりがある服装を選ぶようにしましょう。また身体の血液は重力の影響で約70%が下半身に集中しています。足が冷えると血流が悪くなり全身に巡る血液の量も少なくなるので、足元から温めましょう。

■運動
寒い所では、交感神経の働きによって毛細血管が収縮し、体の表面の温度が低くなります。散歩やラジオ体操などで身体を動かすことで、筋肉で熱が作られ、血液の巡りが良くなって身体が温められます。冷えを感じたら、手足の力を抜いて、手首・足首をブラブラさせるだけでも血行促進効果が得られます。

■入浴
お風呂は身体の汚れを落とすためだけではありません。「湯治」という言葉がある通り、湯に浸かることで体の機能の回復が促進される効果があります。38~40度の湯船にじっくり浸かると、体を休める副交感神経が優位となり、毛細血管が広がって血行が促進されます。入浴効果を高めるためには、塩や日本酒をコップ1杯程度入れたり、よもぎやはっか、ゆずなどの薬草を入れる方法があります。

■食事
冷え性を改善させるために、体を温める食べ物を摂り入れるようにしましょう。身体を冷やす食べ物は、焼いたり蒸したりするなど加熱する、果物なら干す、また、体を温める食べ物と一緒に摂ることで、体を冷やす性質が弱まります。冷えを感じる時は、食べ物も飲み物も温かい物を選びましょう。

■温熱性の食材(陽性食品)と寒涼性の食材(陰性食品)
食材には体を温める「温熱性の食材(陽性食品)」と、体を冷やす「寒涼性の食材(陰性食品)」があります。「平性の食材」はどちらでもない中間の食材のことを言います。体が冷えやすい方は、寒涼性の食材は加熱したり、温熱性の食材と一緒に摂るなどして体を温める工夫をしましょう。例えば、大根は体を冷やす陰性の食品ですが、煮物や鍋物の具として温めて食べれば「冷やさないもの」になり、温める食材の生姜やねぎを加えて調理すれば「体を温める料理」になります。また体を冷やす夏野菜であっても、加熱したり薬味を足すことで体を温める料理になります。

陽性と陰性

 

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投稿者: 予防医学・代替医療振興協会

2024.05.10更新

 食べ物と健康の関係は、古い時代から語られてきましたが、食品に含まれる成分を「栄養素」として抽出、分析され始めたのは1700年代からです。長い歴史の中で、栄養素は身体を作り、動かしている、私たちの健康に欠かせないものだということが明らかになりました。

 特に私たちの身体を動かすエネルギー源になる、糖質、たんぱく質、脂質については「三大栄養素」と呼ばれ、三大栄養素を摂ることの重要性が広く知られるようになりました。

 臨床では、生活習慣病の予防や治療食は、エネルギー量を重視し、カロリー計算がなされるようになりました。食べ物でカロリーを摂りすぎれば太り、カロリーを摂らなければ痩せるという考え方は、ダイエットの基本概念となっています。

 また、ビタミン・ミネラル類は微量栄養素として、身体の調子を整える成分としてよく知られるようになりました。日本では、厚生労働省で「栄養所要量」が定められ、日本人が一日に最低限必要な栄養素の量を指導しています。これはビタミンA欠乏のために起こる「夜盲症」や、ビタミンD欠乏のために起こる「くる病」、ビタミンB1欠乏のために起こる「脚気」等の「ビタミン欠乏症」や「ミネラル欠乏症」を防ぐことのできる量を示しています。

 栄養素を不足しないように摂取することで、欠乏症の予防やカロリー不足を解消し、病気になるリスクを減らすことができます。

※「栄養所要量」日本人が健康を保つために必要なエネルギー及び各栄養素の標準的な摂取量を示すものです。具体的には、年齢や性別に応じて一日当たりに必要なエネルギーや各栄養素について、それぞれの数値をまとめたものです。バランスのとれた食事の献立作りの基準として、幅広く用いられています。

 栄養所要量が定められたことで、健康的な食材選びや食べる量の目安がわかりやすくなりました。栄養成分表に従い、食料の重量を計測することで、その食材に含まれる栄養素の量やカロリー量を算出し、コントロールできるようになりました。

 

農業

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投稿者: 予防医学・代替医療振興協会

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