今こそ、日本食を見直そう
2024.09.10更新
どんな病気でも、これまでの西洋医学では食事や運動など、生活習慣との関係をはっきりさせてきませんでした。食事指導が必須とされているメタボリックシンドロームでさえ、まず 抗コレステロール薬や降圧剤(血圧低下薬)を処方し「薬さえちゃんと飲んでいれば、何を食べても構いません」という医師がいるのです。
しかし、生き物の体は、食べたものや水や吸い込んだ空気によって、骨や血液や筋肉が出来上がっていくのですから、「薬さえ飲めば…」はありえません。むしろ「薬という異物を入れず、血や肉となる食べ物をしっかり摂れば、体はまた健康になっていきます」というのが自然というものでしょう。
老いは、生き物にとって避けて通ることのできない生命現象です。人間の場合、肉体的な成長が止まる25歳頃から、老化は次第に誰でも起こってきます。ただし、老化のスピードは人によって異なります。「もう年だから、今更食べ物を変えても遅い」などと思っていたら大きな誤解です。老いを如実に感じ始めてからこそ、食事を変えて栄養をしっかり摂りましょう。
【日本食を見直そう】
食べ物を変えていこうとする時、参考にしてほしいのは「昔の日本食」の在り方です。実際に、従来の日本食を食べ続けている戦前生まれの人の方が、今の若い人よりも血液データが良いケースがあります。
これまでの長い歴史の中で、日本人は主食としてパンではなく米(胚芽米、発芽玄米)を食べていました。米は、パンやパスタ類と違って、それ自体が塩や砂糖などの調味料を含まない本当の自然食です。特に玄米は、その生命を丸ごと食べるというバランスのとれた「一物全体食」の見本です。
また、パンの発酵に使われている添加物のイースト菌は、体にとっては有害菌となりえることが分かってきています。食べ過ぎにより繁殖することで体調を悪くし、腸の消化能力に影響して免疫力を落とすとも言われています。パンは、それ自体に砂糖や油脂が含まれているので、全体としてカロリーの摂り過ぎになるということもあります。主菜として、日本人は伝統的に肉ではなく、魚や大豆を食べてきました。このため、日本人の母親の母乳にはDHAやEPAが欧米女性の母乳よりも多く含まれていて、子の成長にいい影響を与えているという調査研究があります。
海のものを食べてきたということが、民族としての体質を決定づけたとも言えます。日本人は、牛乳を飲む習慣がありませんでしたが、かつての日本では、カルシウムなどのミネラル摂取量は十分でした。これはワカメや昆布などの海のものからカルシウムやマグネシウムなどを吸収していたためと考えられます。
牛乳は、カルシウムが効率的に摂れると考えられていますが、実際には「毎日欠かさずに牛乳を飲んでいます」という人の骨量が非常に低くて、骨がスカスカ状態であるということがよく起こります。更に足腰の痛みや肩こり、頭痛などを多く抱えているケースもあり、これは「ミルクパラドックス」の影響ではないかと考えられます(ミルクパラドックスとは、牛乳を多く飲むことで、体がカルシウム過剰と判断し、骨からカルシウムを溶かし出し、血液中のカルシウムを増やそうとします。その結果、骨がもろくなっていく現象のことを指します)。
また、発酵食品が腸に良いと言いますが、ヨーグルトに含まれているのは動物性の乳酸菌で、日本人の腸にあっているかは疑問です。実際に「ヨーグルトを食べるとお通じが良くなる」と言いますが、同時に腹痛があったり、ガスの溜まった感じがあるなら要注意です。それは実はお腹を下しているのであって、消化・吸収できない物質が胃腸に入った時の緊急排泄という自浄反応かもしれないのです。
何百年も、習慣的にヨーグルトを食べてきたヨーロッパの人の腸と、日本人の腸が違っていても当然です。逆に日本人の腸は、長い間食べ続けてきた納豆などの大豆発酵食品を消化・吸収するにのは適しています。結局、その民族が長年食べてきたものを食べていくのが、体にやさしい食であり、自然なアンチエイジングにもつながり、脳をイキイキ働かせてくれます。
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NPO法人 予防医学・代替医療振興協会
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