時間栄養学と時計遺伝子
2021.10.21更新
なぜ病院の治療の効果が得られないのか?
そんな時に時計遺伝子が関与していることがあります。
精神科の患者さんなどの場合、生活リズムの乱れにより治療効果が得られにくいことはよくあることです。
しかし精神科だけでなく、糖尿病や脂質異常症、動脈硬化症、肥満など、あらゆる生活習慣病に生活リズムは深く関わっています。
その一例として、今回より何度かにわけ「時間栄養学」「時計遺伝子」などについてお伝えします。
▮時間栄養学
時間栄養学とは、時計遺伝子や生体リズムといった時間生物学の考え方を栄養学に取り入れたもので、1日のリズム(日周リズム、日内リズム)と栄養素摂取や疾患がどのように関連しているのかを解き明かす学問です。
生体リズムは、年周リズム、月周リズム、週周リズム、90分リズムが知られていて、これらを体内時計(または生物時計)と言います。
地球上のほぼ全ての生物は、およそ24時間周期で繰り返される日周リズムをもっています。
日周リズムによって睡眠や覚醒、ホルモンの分泌、血圧・体温調節などの生理活動が制御されているのです。
日周リズムに異常をきたすと、時差ぼけや睡眠障害などのリズム障害を引き起こし、更にがんや生活習慣病、精神疾患などにも関わると言われています。
また、日周リズムの分子機構は、時計遺伝子の転写翻訳フィードバックループに基づいていることが知られています。
▮時計遺伝子
大部分の生物は、昼夜を予測して、事前に代謝を準備する時計遺伝子をもちます。
時計遺伝子の未来予測能は、ある機能を促進すると同時に、それと拮抗する機能を抑えるという機能分業能と伴います。
例えば、午前4時には代謝を高める副腎皮質ホルモン(グルココルチコイド)分泌を増加させると、同時に代謝を抑える睡眠ホルモンのメラトニン分泌を減少させます。
【参考文献】分子栄養学(栄養科学シリーズNEXT)/発行:講談社/編:宮本賢一・井上裕康・桑波田雅士・金子一郎
・‥…━…‥・‥…━…‥・‥…━…‥・
NPO法人 予防医学・代替医療振興協会
投稿者: