時間栄養学と時計遺伝子(テロメア、生活リズム)
2021.11.17更新
▮時計遺伝子とテロメア
体内時計には、日周リズムを支配する時計遺伝子の他に、細胞分裂の時計である「テロメア」があります。
テロメアは染色体末端に存在するDNA-タンパク質複合体であり、染色体を保護します。
テロメアDNAは細胞分裂により減少し、ある程度減ると細胞が分裂しなくなります。
そのため、一定の分裂回数を超えると細胞は増殖せず、細胞老化という状態になります。
また、加齢によりテロメアが短くなることから、生体寿命への関連が考えられています。
▮生活リズムと疾病リスク
ストレス、光(朝日)、朝食摂食といった環境刺激は、それぞれ大脳皮質、視交叉上核、肝臓で感受され、処理されます。
視交叉上核にある主時計遺伝子は、光(朝日など)を網膜で感受してリズムの位相を朝に合わせ、全身の細胞にある末梢時計遺伝子は、朝食摂食によって位相を整えます。
両時計遺伝子の同調は健康維持にとても重要であり、最適な栄養摂取量と運動を揃えても、日周リズムに変調が長期間継続(交代勤務など)しただけで高血圧、高血糖が誘発され、活性酸素種も増加し、循環器疾患や糖尿病のリスクが高まります。
更に、これらの疾患による細胞の損失を代償するための細胞増殖と活性酸素がテロメア長を短縮させると言われています。
【参考文献】分子栄養学(栄養科学シリーズNEXT)/発行:講談社/編:宮本賢一・井上裕康・桑波田雅士・金子一郎
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NPO法人 予防医学・代替医療振興協会
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