ゴースト血管にご用心
2025.03.10更新
昔から「人は血管とともに老いる」と言われ、年をとると血管壁は弾力性が無くなって硬くなり、血管壁が厚くなって内腔が不規則に狭くなったり部分的に拡張したりします。動脈の走行も蛇行しやすく、その状態が首や腕などでは外から観察できるようになります。動脈硬化が年齢とともに段々と進行する時に見られる所見です。
血管というと、太い血管を想像されるかもしれませんが、実は血管の95~99%が毛細血管です。皮膚を通して見えるのはかなり太い血管で、ここから枝分かれして体中のあらゆる臓器や器官にびっしりと極細の毛細血管(0.005~0.02mm)が張り巡らされているのです。毛細血管をはじめとする全ての血管を1本につなぐと約10万キロメートルとなり、地球を2周半するほどの長さに匹敵します。そして心臓から出た血液が体内を巡り、再び帰ってくる時間は約30秒となり、相当の速さで循環されていることが判ります。毛細血管は動脈と静脈の間に位置し、細胞に必要な酸素や栄養を届け、不要となった二酸化炭素や老廃物を回収するのが役割です。そのため毛細血管はあらゆる細胞と0.03mm以内にあるとされています。全ての細胞の至近距離にまで毛細血管は張り巡らされているのです。毛細血管は、小さな穴が開いており、適度に漏れることで周囲の細胞に酸素や栄養を届けることができます。しかし、加齢などが原因で過度に漏れやすくなったりすると、その先に血液が届かなくなってしまうことがあり、その状態が続くとその先の血管が消滅してしまうのです。この状態を「ゴースト血管」と言い、テレビや雑誌でも取り上げられている現況です。
【ゴースト毛細血管は万病の元!】
毛細血管が無くなってしまうと、その先にある細胞に酸素や栄養が行き届かなくなります。皮膚の近い場所で起きると肌のシミやしわの原因に、頭皮近辺で起こると薄毛や白髪の原因になります。また酸素や栄養が届かないと、心臓は強い力で血液を送り出そうと働くため、高血圧を招いて、更には動脈硬化を進行させることに繋がり、心筋梗塞や脳卒中のリスクも高まります。また血液は酸素や栄養だけでなく白血球も運びます。体の隅々まで白血球を届けることで免疫に寄与していますが、ゴースト血管によって白血球が行き届かなくなる場所があると免疫が落ち、風邪をひきやすくなるなど感染症のリスクが高まります。また一定の温度の血液を運ぶことで、体温を維持するのも毛細血管の役割です。そのため血流が途絶える場所があると、その先で冷え性が起こることもあります。更には毛細血管が減ることで、アルツハイマー型認知症や骨粗鬆症のリスクが増すという見解もあります。エネルギーが消費しにくくなるので糖尿病のリスクも心配しなければなりません。
【血管の健康度チェック】
※該当する項目が多いほど、血管に悪影響を与えます
☑脂っこいものが大好きで、油物を中心に食べる
☑濃い味付けが好み
☑外食と加工食品が多い
☑甘いものが大好き
☑ストレスが多く、いつも気持ちが急いでいる
☑心の底から楽しめる趣味がない
☑タバコを吸っている
☑睡眠時間が短く、寝不足だ
☑睡眠時無呼吸症候群がある
☑運動はしないし、いつも車で移動する
☑血圧が高め
☑血糖値が高め
☑コレステロール値が高め
☑太っている
【毛細血管のゴースト化を防ぐには】
まず第一には血流が滞らないようにすることがポイントです。血管の中を流れる血液を「流れやすい状態にする」ことが必要です。例えば脂質異常にならないように食事のバランスを気をつけることです。また食後に高血糖にならないように野菜から食べること、よく咀嚼すること、また大食いを避けるなどを実行しましょう。副交感神経を優位にすることは、末梢の毛細血管を開かせ血流がよくなるという見解もあります。交感神経が優位な状態が続くと、毛細血管が収縮して血圧が上昇してしまいます。規則正しい生活や質の良い睡眠、リラックスタイムを心掛けるなど副交感神経が優位になる時間帯を作りましょう。栄養素としては、血液をサラサラにするDHA/EPA、血管壁を構成するレシチン、血管の弾力を保つコラーゲン、各種ビタミンやミネラルが必須です。ハーブではイチョウ葉やシナモン、ヒハツなどがお勧めです。
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NPO法人 予防医学・代替医療振興協会
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