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2020.02.26更新

 

「ストレスで白髪が増える」

よく耳にする話ですが、これまでこの根本的機構は解明されていませんでした。

 

1月22日、Natureオンライン版にて、米ハーバード大学幹細胞・再生医学准教授のYa-Chieh Hsu氏らがマウスを用いた実験でストレスがかかると白髪が減る機序を解明した旨を報告しました。

 

この研究は白髪についてですが、それだけでなくストレスによる様々な器官への影響を研究する基盤ともなるものです。

 

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生物はストレスを感じると、「闘うか逃げるか」(闘争・逃走反応)のどちらかを選ぶよう自律神経が働き、ノルアドレナリンが産生されます。

今回の実験では、マウスを物理的、心理的ストレスにさらしたところ、この闘争・逃走反応の一部を担う交感神経系が活性化されて、放出されたノルアドレナリンの影響で、毛包にある色素をつくる色素幹細胞が永続的に枯渇してしまうことが判りました。

Hsu氏の説明によると、「マウスに物理的、心理的なストレスを与えてから数日後には、色素幹細胞は過剰に反応した後、全て枯渇してしまった。幹細胞が消失すると色素は再生できなくなる。しかもこのダメージは永続的なものだった。」とのことです。

 これは動物実験の結果ではありますが、闘争・逃走反応のネガティブな影響を強調しているとし、論文筆頭著者の同大学Bing Zhang氏は「特に闘争・逃走反応を刺激するような急性ストレスは従来、動物が生き延びるために役立つと考えられてきた。しかし今回、急激なストレスがかかると幹細胞を永遠に失ってしまうことが分かった。」と述べています。

また、今回の実験はストレスによって白髪が増える機序を研究したものになりますが、Hsu氏は「ストレスに対する自律神経反応が色素幹細胞に与える影響を明らかにすることで、他の組織や器官への影響についても解明していく基盤をつくることができた」と述べています。

 

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ストレスを受けると、「免疫が下がる」「細胞の老化が進む」など、私たちは何となく認識をしながら生活しているかもしれません。

栄養学でいうならば、ストレスによって栄養素が消耗されることで組織の機能低下を促進させる、という機序が挙げられますが、この研究は特定の幹細胞への影響を示したものになり、今後は様々な組織や幹細胞への影響を解明するための研究に応用され、あらゆる疾病の解決の糸口への繋がっていくことが期待されます。

 

参考:Care Net/Nature Asia

 

 

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投稿者: 予防医学・代替医療振興協会

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