フレイルとは、「Frailty」(虚弱)が語源となる概念で、老化に伴い運動機能や認知機能等の身体機能が低下し、健康障害を起こしやすい状態のことを指します。
健常と要介護の中間的な状態で、普段の生活習慣によって要介護に移行することも、逆に健常に戻ることも可能な状態です。
フレイルには、身体的フレイル、精神・心理的フレイル、社会的フレイルがあり、身体的フレイルは、ロコモやサルコペニアの影響を大きく受けることが知られています。
▮ビタミンCと筋肉の密接な関係
ビタミンCの摂取量が多く、また血中濃度の高い人は、骨格筋量を高く維持していることが、栄イーストアングリア大学が中高年を対象に行った研究で明らかになりました。
▮新たなフレイル防止策?
調査チームは、42~82歳の男女13,000人あまりを対象に骨格筋量を計算し、ビタミンC摂取量を7日間の食事記録により分析したほか、血中ビタミンC濃度についても測定をしました。
調査の結果、食事及び血中にビタミンCが多かった人は少なかった人々に比べて、推定される骨格筋量が多いことが分かったそうです。
ビタミンCの摂取が加齢による筋肉減少(サルコペニア)の予防や、筋肉の健康維持につながる可能性が示唆されました。
▮サルコペニアやフレイルはQOL低下をもたらす
近年、日本においても、高齢者の筋肉量低下(サルコペニア)やフレイルは、健康寿命を短くする要因として問題視されています。
ビタミンCは強い抗酸化作用をもつビタミンであり、体内の老化要因となるフリーラジカルから細胞や組織を守る働きが広く知られています。
美容やアンチエイジング面で注目されがちですが、加齢による骨格筋量や筋力の低下が懸念される高齢者において、更に注目される栄養素だと言えるでしょう。
出典:「栄養学雑誌」
Lower Dietary and Circulating Vitamin C in Middle- and Older-Aged Men and Women Are Associated with Lower Estimated Skeletal Muscle Mass
Lucy N Lewis, Richard P G Hayhoe, Angela A Mulligan, Robert N Luben, Kay-Tee Khaw, Ailsa A Welch
The Journal of Nutrition, nxaa221, Published: 27 August 2020
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NPO法人 予防医学・代替医療振興協会