昨年11月9日(土)、東京・中野サンプラザに於いてP&A学術交流会を開催致しました。
既にNEWSLETTERでご覧になった方もいらっしゃるかと思いますが、今回から数回に分けて、各講師の先生方の講演内容を一部、ご報告させて頂きます。
まず、発達支援Kids Sense主宰・自閉症スペクトラム支援士でいらっしゃり、米国で学んだ発達支援の取り組みについて普及活動をされている茂木厚子先生の講演内容をご紹介させて頂きます。
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「療育先進国での発達支援の取り組み」
茂木 厚子 先生(発達支援Kids Sense主宰・自閉症スペクトラム支援士・保育士)
健康に長生きするスキルは、幼少期の環境が土台をつくります。
発達障害児が右肩上がりに増えている今、習い事が増え時間的制限がある、体を動かして外で遊べていない、食事が偏り慢性的な栄養不足、農薬や食品添加物などの化学物質、電磁波の暴露などが神経の成長を妨げています。
なかでも「遊び不足」は、茂木先生がカリフォルニアから帰国した17年前、大変衝撃的だったそうです。
子どもにとって遊びとは、生きる能力を育むもので、誰も教えないのに「子どもが遊ぶ」のは神経系を発達させるための本能なのです。
神経系の未発達によって問題行動とよばれる行動が起き、『発達障害』にカテゴライズされてしまう子どもが増えています。
しかし、本来は「未発達(発達段階)」と捉えるべきです。
例えば幼少期には誰もがブランコを延々と乗った記憶がありますが、これは無意識に自らバランス感覚を育てていて、自然と卒業していきます。
子どもの発育にミルクが必要なように、感覚刺激なしでは発達はありない。
米国では当たり前の概念です。
脳の発達には「快の状態」が必要で、安心感が得られた脳はスポンジのようにどんどん吸収して育ちますが、不快の状態が続くと石のように堅くなっていくため、脳は成長を止めてしまいます。
カリフォルニアでは「治療=薬」ではなく、環境設定(食・睡眠・健康・遊び)とサポート(合理的配慮・理解)が第一です。
教室に回転いすやペダルデスク(集中力を取り戻せる)、噛むグッズ(多動症が落ち着きやすい)を導入し、個々の成長を促します。
脳神経の成長スピードには個体差があることを充分理解し、社会に柔軟に採り入れていただきたいと思います。
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次回は、認知症予防・改善医療団理事長の松原義泰先生の講演内容をご紹介致します。