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2019.01.24更新

近年では腸内フローラ(腸内細菌叢)と、精神疾患や発達障害との関係も注目されるようになってきました。

実際に、精神疾患や発達障害の診断を受けている人は便秘・下痢・胃痛・腹部膨満感等、様々な消化器症状を呈していることが多く、栄養療法等で腸内環境を改善させることで症状が落ちつくケースも多いと言われています。

 

【神経伝達物質と腸内フローラ】

精神症状に関る神経伝達物質で、腸内環境が深く関与するものに「セロトニン」「GABA」があります。

セロトニンは「幸福ホルモン」とも呼ばれ、脳の覚醒・感情の制御・抑うつ効果等の働きが知られていますが、生体内のセロトニンは約90%が腸管に存在すると言われています。

GABAは「リラックスホルモン」と呼ばれ、 神経の興奮を沈めたり、脳機能を改善する効果等が知られていますが、腸内環境が不安定でGABAを産生する腸内細菌が少ない子供は、行動異常、自閉症等になりやすいとされています。

つまり、腸内環境が不安定で、これらの産生が低下している状態になると、不安感やイライラ等の精神症状や、脳機能低下が生じやすくなってしまうのです。

 

【腸内細菌と脳の健康】

通常マウスと無菌マウスを比較した研究では、前者に対し、後者の場合は拘束ストレス負荷による副腎皮質刺激ホルモンとコルチコステロンの上昇反応が有意に亢進し、さらに、脳内神経成長因子や脳内神経伝達物質濃度を比較したところ、無菌マウスでは、海馬と前頭葉での脳由来神経栄養因子、セロトニン、ノルアドレナリン濃度が通常マウスと比べ有意に低下したとされています。

これらの結果は、腸内細菌の相違により成長後のストレス反応が異なること、腸内細菌が脳内の神経成長因子や神経伝達物質の濃度に影響を及ぼすことを示しました。

 

【出産方式と精神症状】 

出産方式の影響についての研究では、帝王切開で生まれたマウスは経膣的に生まれたマウスとは異なる細菌叢をもち、不安度が顕著に高く、うつ病の症状を示すことが報告されています。

つまり、子は母体から受けた細菌によって腸内フローラ等の細菌叢を形成し、それによって脳腸相関のネットワークを発達させていることが分かります。

 

 【母体の腸内フローラの影響】

ビフィズス菌についての研究では、妊婦の一定の条件を満たす腸内細菌叢が、生まれてくる子供の腸内に垂直伝播する可能性が示唆されました。

これにより、新生児の腸内細菌叢の健全化のためには、妊婦の腸内細菌叢が安定した状態である必要があり、妊婦の段階で腸内細菌叢を安定化できれば、新生児の発達障害それ自体に対する予防効果までは期待できなくても、発達障害の精神・行動上の問題や消化器症状の軽減には資する可能性がある、とされています。

特に自閉症に関しては、生まれて早期の段階での腸内フローラの定着が脳に最も大きな影響を与えているとも言われています。

 

 参考文献:腸内細菌と脳腸相関(九州大学学術情報リポジトリ 須藤信行)/脳腸相関―各種メディエーター、腸内フローラから食品の機能性まで(医歯薬出版株式会社)


細菌叢は目に見えなくとも、私たちの心身の健康に大きく影響していることが分かりますね!

 

また、腸内フローラは精神状態や脳の発達に影響しますが、反対にストレスを受けることによっても腸内フローラに変化が生じることが知られています。

つまり・・・

 

腸内フローラ → 脳・ストレス

  ↑        ↓

脳・ストレス ← 腸内フローラ

 

という感じで、脳機能やストレス反応と腸内フローラは深い相関関係を成しているのですね。

 

健康な方の疾病予防としての対策はもちろんですが、ストレスを感じやすい方、気持ちが不安定になりやすい方は、今一度腸内環境に着目してみてはいかがでしょうか。

 

 

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投稿者: 予防医学・代替医療振興協会

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