糖尿病、介護リスクが運動によって糖尿病でない人と同レベルに
2020.03.13更新
糖尿病などの生活習慣病では積極的な運動が勧められますが、実際に運動習慣でインスリン抵抗性が改善し、血糖値が安定しやすくなることが分かっています。
最近は新たに、新潟大学による研究で、通常だと糖尿病患者は介護が必要になるリスクが高いものの、運動を続けていれば糖尿病でない人と変わらない程度にリスクが低下する可能性が明らかになりました。
この研究では、三条市の特定健診と診療報酬請求および介護保険データを統合し、生活習慣病(糖尿病、高血圧、脂質異常症)および生活習慣(運動習慣の有無、現喫煙)と、介護保険の利用状況との関連を検討する後方視的コホート研究を行い、運動習慣の有無は「中等度の運動を週に2回30分以上、1年間継続していること」が判定基準となりました。
2012~2015年に健診を受け、少なくとも2年間追跡可能だった39~98歳の1万1,469人のうち、心血管疾患の既往がなく要介護認定を受けていない9,673人(うち男性4,420人)を3.7年(中央値)追跡したところ、追跡期間中に165人が要介護認定を受けました。(うち要支援49人)
要介護状態の発生に関連する可能性のある既知の因子を統計的に調整した上でリスク因子を検討すると、加齢やBMI18.5未満とともに、糖尿病と運動習慣がないことが有意な因子として抽出されました。
続いて、前記3種類の生活習慣病と運動習慣の有無を加えた、計4つのリスク因子の保有数と要介護リスクを検討したところ、リスク因子を1つも保有していない人に比較し、2つ以上保有している場合のリスク上昇は統計的に有意とされました。
次に、対象全体を糖尿病の有無と運動習慣の有無で4群に分け、糖尿病がなく運動習慣がある人の要介護リスクを基準に、他の3群のリスクを比較したところ、運動習慣がない人では糖尿病がある場合に有意に高リスクであるのはもちろん、糖尿病がなくても有意なリスク上昇が認められたとのことです。
ところが、運動習慣がある人では糖尿病であっても有意なリスク上昇は認められませんでした。
一般に介護リスクとしては、認知症や脳血管疾患、骨折・転倒、関節疾患、衰弱などが要因として挙げられますが、運動習慣は筋力や骨密度の維持だけではなく、脳機能向上や循環器疾患の予防、そしてインスリン抵抗性の改善に有効とされていますので、糖尿病があったとしても、身体機能の維持に大きく貢献するのでしょう。
また、当研究における運動習慣の有無の基準として「中等度の運動を週に2回30分以上、1年間継続していること」とありますが、中等度の運動は一般に「息が少しはずむ」程度の運動とされています。
具体的にはウォーキングやジョギング、水泳、負荷が強過ぎない筋力トレーニングなどでしょうか。
身体をつくるのは栄養なので、食を疎かにするわけにはいきませんが、やむを得ない場合などもあると思います。
普段運動をする機会のない方も、週1回のウォーキング、または1日10分のウォーキングなど、取り入れやすいことからはじめ、徐々に習慣化していけると良いのではないでしょうか。
参考・引用:Care net「糖尿病でも運動していれば介護リスクは糖尿病でない人と同レベル―新潟大」
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NPO法人 予防医学・代替医療振興協会
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