代替医療から統合医療へ【代替療法の種類】
2024.01.10更新
米国では、代替医療の研究機関として国立補完代替医療センター(NCCAM)が設立されています。NCCAMによると、代替医療は次のように定義されます。
「代替医療とは、現時点において通常医学の一部としては一体化していないヘルスケアあるいは医療を指す。一般に代替医療は、医師やオステオパシー医師によっては行われていない種類の医療であり、現代西洋医学や主流医学、生物医学などとは異なる。なお、代替医療として分類される医療行為のリストは、社会情勢や化学的根拠などに基づいて変更され続けるものである。」
代替医療として包括される医療は、非常に広範にわたります。ここでは、米国のNIH(国立衛生研究所)による分類に従って、代替医療を次のように分けてみました。
①代替医学システム(Atllernative Medical Systems)
代替医療の中でも、特に体系化された医学であり、身体と精神の調和を重視する特長を持ちます。これに分類される代替医療の多くは、非西洋社会における思想や信条に基づいており、現代西洋医学が体系化される以前に確立した伝統医学です。代替医学システムの具体例としては、例えばインドの伝承医学会系であるアーユルヴェーダや、中国の伝統医学などがあります。また古代ギリシアから近世に至るまでのヨーロッパで主流であった医学システムもこれに分類されます。更に近世のヨーロッパや米国に起源を持つ代替医療であるホメオパシー(同種療法)やナチュロパシー(自然療法)もここに分類されます。
➁精神と身体への介入による代替医療(Mind-body interventions)
精神へ働きかけることで、精神面から身体面への介入を行い、体の障害や症状に作用する代替医療です。精神へ働きかける手段としては、心理学的あるいは行動療法的なものが考えられます。ここに分類される代替医療としては、例えば瞑想(法)やヨーガ、睡眠療法、芸術療法、音楽療法、ダンス療法などがあります。
③生物学的療法(Biologically based therapies)
食事や薬草などによって、生物学的な作用に基づいて行われる代替医療です。例えば、様々な食事療法、ビタミンやミネラルといったサプリメントによる栄養療法、ハーブ療法、動植物などから抽出した成分をサプリメントとして用いる治療法、EDTAという化合物やオゾンを利用する療法などがあります
④手技及び身体を介する療法(Manipulative and body-based methods)
治療者の手技を用いて行われる治療法、あるいは身体を操作することを治療法とする代替医療です。ここに分類される代替医療としては、カイロプラクティック、マッサージ療法(按摩や指圧、リフレクソロジー、欧米式マッサージなど)、温熱療法などがあります。
⑤エネルギー療法(Energy therapies)
エネルギー療法とは、身体の内部に由来するエネルギーの場、あるいは外部から身体に働きかけるエネルギーの場を利用した治療法です。具体的には中国医学の気功やセラビューティック(治療的)・タッチ、生物電磁気学的療法などがあります。
以上の分類では、複数のカテゴリーに属する代替医療も存在します。例えば、瞑想(法)は精神と身体への介入による代替医療に分類されますが、同時に代替医学システムと考えることもできます。更に、代替医学システムに含まれる気功やヨーガといった治療法は、それぞれ別のカテゴリーにも分類されます。
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NPO法人 予防医学・代替医療振興協会
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