脳機能と密接に関わる運動習慣
2021.09.09更新
精神疾患や認知症の予防・対策として栄養療法が有効であることは知られていますが、今回は脳の健康維持に深く関わる「運動」についてお話します。
運動といえば糖尿病や高血圧症、脂質異常症などの生活習慣病対策に不可欠というイメージが一般的かと思います。
しかし精神疾患や認知症も、ストレスに加え、食事や運動、休養を始めとした生活習慣の乱れによって誘発されたり、重症化するケースが多々あります。
つまり、これらの疾患も生活習慣病の一つと言え、対策として運動習慣は不可欠なのです。
1.筋力が低下すると、脳に必要な栄養素が運ばれにくくなる
脳をはじめ身体の組織は栄養素を材料としてつくられますが、栄養素を摂取すればそれがそのまま組織の材料となるわけではありません。
摂取した栄養素は消化器官で消化吸収され、血液によって脳や必要としている組織まで運ばれます。
運動不足で筋力が低下していると、消化管の機能が低下したり血行不良を生じますので、必要な栄養素が十分に吸収・循環ができない状態となり、脳脳機能の低下を招く要因ともなります。
2.代謝機能の向上は、ホルモン生成や神経細胞間の情報伝達を正常化させる
継続的な運動により筋肉量を維持すること、そして血液や栄養素の循環を維持することで、各組織の代謝機能は正常に働くようになります。
そうすると、神経伝達物質やホルモンが適正につくられ、神経細胞間の情報伝達がスムーズに行われるようになります。
脳の神経細胞機能が正常に働くと、情緒や認知機能の維持に役立ちます。
3.血糖コントロール能が改善することで、認知症リスクや低血糖症リスクが軽減
血糖コントロール不良は、アルツハイマー型認知症や脳血管性認知症を誘発すると言われています。
その為、糖尿病患者は認知症リスクが高いと言われていますが、注意すべきは糖尿病のように血糖値が持続的に高い状態だけではありません。
倦怠感や不定愁訴、そして精神疾患の要因となることで知られている「機能性低血糖症」も血糖コントロール不良による悪影響が生じている状態であり、診断を受けていない健康な方の中にも未病状態にある方は多くいることが推測されています。
そして、習慣的な運動は、これらの血糖コントロール不良を改善することが分かっています。
4.習慣的な運動は神経細胞の新生を促す
脳は神経細胞が密集した器官です。
以前は成人期の神経細胞の新生は難しいと言われていましたが、近年は神経細胞の新生は可能であること、そして特に運動による刺激が神経細胞の発生を誘導すると言われるようになりました。
認知症や精神疾患は、脳神経細胞の減少によって進行することが知られていますが、運動を習慣的に行うことでこのリスクを低減することもできるのです。
その他にも、自身に適した運動を習慣的に行うことは、ストレスを解消すると共に日常生活に充実感を生むことができます。
そういった点でも運動習慣は精神衛生を向上し、抑うつ状態を予防すること、そして抑うつ状態から誘発される認知機能の低下等を予防することができるのです。
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NPO法人 予防医学・代替医療振興協会
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